「ライナス」

2003/7/27 道新ホール 劇団イナダ組第26回公演

父さんは、憎かった。母さんの事は、嫌いだった。
心のよりどころは、古ぼけた一枚のブランケットだった。


〜STORY〜
高校を中退した娘を持つ松永竜一は、娘の妊娠話と新聞のタイムカプセルの記事より30年前の自分の過去の記憶を、忘れてしまった大切な何かを、辿り始める・・・
離婚して母に引き取られたものの死別し、叔母に引き取られていたところ、別れて暮らしていた父・春夫から引き取りたいという申し出が。 10年ぶりに再会した父は“母”になっていた・・・

〜感想〜
初めてのイナダ組観劇となったこのライナス。深くて重くて切なかった。
考えさせられることの多い芝居って初めてだったし、客の年齢層もNACSや前日のupspeakと違って割と高めだったのが観てみて納得がいった感じ。
ただ、客の半分くらい泣きがあまりに早かったのに驚いた。
あれはどう考えても早すぎる。

ライナスの意味は、このインプレを書くのに意味を調べてみようと検索するまで実は知らなかったのだが、竜一の孤独が切なく、竜一の孤独を知って初めて父親らしいところを見せた春夫もまた切なかった。

音尾くんが一応主人公なんだけど、子供時代の江田くんが本当の主役っぽくて初めての大役で頑張ってたし、江田くん以外にこの役できないのはそうだけど、すごくはまっててよかった。
音尾くんはほとんどストーリーテラーって感じだったので、ちょっともったいなかったかなと思うものの、何で中年役にこうも違和感がないのだろうと不思議に思う。

大泉さんのハルちゃんはものすごく女だった。
最後のお辞儀まできっちりと女だったことに感心しきり。
短い稽古期間にもかかわらずさすが役者!
ハルちゃんの切ない感じがよかった。
歌は元々大泉さんのバラードには弱いのと、芝居終了後アンケート書いてる間にあれだけパワープレーされたらもうサントラ好きなもので、すっかり買う気になってます。
ぜひCD出してほしい!

今回思いの外よかったと思ったのはNACSリーダー・森崎博之。
抑えた芝居もできるんじゃないと思ったらどうやら肋骨を折ってしまって、結果的にそうなったらしいけど、ケガの功名でせっかく幅も広がったのだから今後にもぜひ生かしてほしい。抑えた感じは素敵だったぞ。

一番楽しみにしてたのは実は達子さんだったりします。
「LOVER」のビデオを見たとき、一番目を惹いたのはNACSよりも達子さんの切ない感じだったもので、今回はちょっと叫んでる感じが多かったのがもったいなかったかも。
Jはすごくはまってた。ほんとにいるもんああいうタイプのおかまの人。

イナダさんの作品は、NACSとは全然違う3人が見れて新鮮だったし、深く切ない感じは好きなタイプの芝居だった。
それからなぜ舞台が三鷹だったのか。 このチョイスがハルちゃんの微妙さをさらに際だたせてることもあるけど、「このくらいのラーギット」も新宿の高架下だったり、イナダ組って割と東京の舞台設定が多いのかな。
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